こんにちは!AKIRAです。
いきなりですが、ついてないなぁ、不運だなぁ、と思ったことありますよね?
僕も思ったことあります。というか、そんなこと日常茶飯事です。
例えば大事な用がある時に限って電車が遅れる。
大切な要件をメールしたのに、そのメールだけ相手に届いていなかった。
いつも鞄には折り畳み傘を入れているのに、入れ忘れたときに限って雨が降ってきた。
色々ありますよね。生きていれば色々あります。
しかし、例えばそんな不運が一日、ないし数日間の間に何回もやってきたら、どう思いますか?
悲しい。なんで私ばかりがこんな目に。そう思いますよね。嫌になりますよね。
ていうかそんな変な事ばかりが一日の間に何回も起こらないだろう。
普通はそう思うでしょう。ええ、普通はね。
しかし私は現実に不運なことが立て続けに起こる人間を目の当たりにしたことがあるのです……
話は私が大学生の頃に遡ります。
全てはノンフィクション。
そのついてない男の名は『ハリー』。
二十代前半にして既に頭皮が怪しくなってきた、野獣のような風貌でありながらも、心は優しいナイスガイです。
丁度大学三回生の時でした、ゼミ合宿というものがあったんですね。
他県にある大学所有の合宿所で泊まり込みで勉強する……
というのは建前で、実際はほとんど自由時間の、言うなれば『ただの旅行』です。
そして私達ゼミ生は大学近くの駅に集合し、フェリーを使って合宿所へ向かいます。
私もハリーも乗り物酔いが酷いので、二人で割り勘して酔い止めを購入し、そして船に乗り込みました。
船の中では数グループに分かれ、あるグループは見晴らしのいい席を陣取り酒盛り、
またあるグループは教授を囲んで真剣な話を、皆思い思いの時間を過ごしていました。
私達のグループはゲームセンターでスロットを回し、脱衣麻雀に興じ、甲板に出てみたり、船内をふらついたり、幼い子供のように落ち着きなくフラフラとしておりました。
そして夜も更け、就寝。もちろん一番安いタコ部屋です。
翌朝、私は中々起きる気にならず、布団の中でグダグダしていました。
すると隣からハリーの悲鳴に近い声が。
「あっ!俺の充電器がスケルトン化してる!!」
覚醒しきっていない私の頭では到底理解できませんでした。
スケルトン化??
何それ??
そして私は体を起こしてハリーの充電器を見てみました。
するとそこには基板が剥き出しとなってしまった充電器が……
※補足ですが当時はまだガラケーでした。イメージしやすいようにガラケーの充電器の画像をはっておきますね。
そうです。このコンセントに差す部分のプラスチックパーツが外れ、基板が剥き出しとなっていたのです。
この部屋は境界のないタコ部屋、おそらく私たちの後に部屋に入ってきた誰かが踏んづけてしまったのでしょう。
しかしそれはもう後の祭り。結果的にハリーの充電器は文字通り『スケルトン化』してしまったのであります。
これから合宿なのに充電器がスケルトン化……
怒りと落胆交じりに肩を落とすハリーを私達は慰めました。
気を取り直し顔を洗いに行くハリー。
下船の時刻が近づき私達は自分の荷物を纏めていると、ハリーの足元から子気味いい音が。
「パキッ」
「あっ」
青ざめるハリー。私もそれを見て思わず「あっ……」と呟いていました。
歪んだメガネのフレーム。。。そうです。彼は荷物を纏める際に誤って自身のメガネを踏み潰してしまったのです。
これは流石に笑えない。苦虫を嚙み潰したような顔をして彼は歪んだフレームを戻そうとしています。
まぁフレームの歪みくらい何とかなるだろう。
だって逆方向にまた捻ってやればいいんだから。
私もそう思っていました。
「ポンッ」
あろうことかフレームからレンズが外れたのです。。。
うわっ、最悪。
そうつぶやいた彼はおもむろに鞄にメガネをねじ込むと、ポケットからいつも着けているネックレスを取り出しました。
もうメガネは再起不能と判断して諦めたのでしょう。
切り替えの早い男です。
そして何事もなかったかのようにネックレスを着けようとチェーンを首の後ろへ。
。。。ブチッ
ネックレスのチェーンがちぎれました……
スケルトン化した充電器。
ちぎれたネックレス。
そして鞄の中にはレンズが外れ、フレームの歪んだメガネ。。。
楽しみにしていたゼミ合宿に暗雲立ち込めるスタートとなってしまったのです。
※長くなりそうなので一回切りますね。
次回、いよいよ到着した合宿所。そこでもまた幾多の不運が彼を待ち受ける……!
彼の運命や如何に!!
……to be continued